アベノミクスの現在地。

ここ半年以上、経済のことについてエントリを書いていなかった。自分でも意外に思う。現状に対する見立てについて書き残しておきたい。

★★★

2013年の日本経済は予想を上回る成長を果たしたと言っていい。日経平均株価は56%の上昇となり、世界の株式市場で5本の指に入るパフォーマンスを見せた。5月からの急落を見事にカバーして、12/30の大納会は年初来からの高値引けとなった。

2014年についても、NISAのスタートにより貯蓄から投資への流れが生まれること、米国経済が好調さを維持していることにより円安となりやすい地合いが続いていることから、株価は堅調に推移していくという見方が多い。しかしながら個人的には、ここからのもう一段の上げは難しいのではないかと考えている。

なによりも新興国、とりわけ日本企業のお得意様である東南アジア諸国の経済に危うさが出ている。米国経済が堅調さを取り戻し、テーパリング(金融緩和のために続けていた米国債券の買取プログラムを縮小する動き)が現実化してくるにつれて、新興国へ振り向けられていた投資資金に回収の動きが出てくると見込まれる。基礎的経済条件の悪い国(財政赤字や経常赤字国)からその動きが出てくると思われるが、いったんどこかの国が経済危機に陥れば、連鎖的により条件がましな国へも投資資金の回収の動きが起こることになる。この動きは経済危機のみならず通貨危機に陥る懸念も併せ持っており、そうなれば15年ほど前に発生したアジア通貨危機の再現となる可能性も否定できない。当時と比べれば東南アジア各国の経済力は格段に強くなっているが、一方で各国の生活が輸入材(特に一次エネルギー!)に頼る度合いも増しており、危機の影響力もはるかに高くなっている。

もう一つ、国内の人材不足も心配している。労働者人口の減少がじわじわと実体経済にマイナスを及ぼし始めると見ている。既に都心ではサービス業を中心に雇用確保に苦心している企業が増えているし、今年以降は製造業でも同じような悩みに直面するであろう。人口動態上、この流れは止めようがない。少なくない、今働くことができないでいる人たちや、シニア世代にもう少し長めに働いてもらうことで乗り切るしかない。移民やロボットの導入といっても限界がある。

逆に、消費税導入や日中韓の関係悪化はそこまでマイナス要因にはならないとみている。上に挙げた2つの要因、特に東南アジア経済はコントロールが効かない問題であり、今年の日本経済はこれに左右されるだろう。そして、僕自身は、若干悪い方向に結果が出るのではないか、と見ている。株価で言うなら15,000円を挟んで上下1割といったところだろうか。