クライマックスシリーズ。

3年ぶりのクライマックスシリーズでのマリーンズの戦いを楽しんでいる。考えてみれば日本一になった2005年と2010年についても1位のチームを破っての日本シリーズ進出であり、このチームがレギュラーシーズンを1位で終えたのは1974年に遡る。

戦力では他のチームに劣るこのチームは、短期決戦となるとがぜん力を発揮する。逆に言うと、長いレギュラーシーズンのなかでは必ず失速してしまう時がある。今年はそれが最後にきてしまった。

レギュラーシーズン最後の10試合を4勝6敗。ライオンズとホークスに最後まで猛烈に追い立てられた。対戦カードが既に1位を決めていたイーグルスや下位のチームに偏っていたからこそ、4つ勝ちを拾えたとしか言い表しようがない。怪我人が続出してまともに打線を組むことができず、およそクライマックスシリーズに進出するチームとは言い難い状態であった。レギュラーシーズン最後のゲームとなった、勝ったほうが2位となるライオンズとのゲームにもなす術なく敗れた。3位でシーズンを終えたものの、不安しか残らない終戦であった。

ところが、クライマックスシリーズが始まると強いマリーンズが帰ってきた。あれだけ出てこなかったチャンスでの一打が出る。ピンチで大崩れせずに守り切る。なにかが乗り移ったかのように力を発揮する選手たちの姿があった。クライマックスシリーズ進出が3年ぶりであるがゆえに、これだけ躍動するマリーンズの姿を見るのも3年ぶりだ。レギュラーシーズンを8連勝で終え、どこからどう見ても勢いに乗っているライオンズを退けた。ファイナルステージのイーグルスとの戦いは、今のところ負け越しており崖っぷちには立たされているが、レギュラーシーズンと比べると内容ははるかに良く、今季2勝10敗と圧倒的に分の悪いKスタ宮城でのシリーズにしては相当健闘していると言っていい。ファンとしては、もう今年は充分楽しませてもらっている。

それでも、できることならもう少しマリーンズの戦いを見ていたい。そして、その可能性はあると思っている。クライマックスシリーズ残り3試合、3つとも勝たなければならない状況というのは2010年と同じ。開き直って、無欲で目の前の一戦に集中していけば、同じことが起こり得ると信じている。

人間、期待していたものを遥かに上回る結果に接すると、どう喜んでいいか戸惑ってしまうものだ、という経験を2010年に味わうことができた。そうそう何度も同じ経験はできないとも思ってはいるが、静かに行くすえを見守りたい。