リニア建設という投資。

八芳園で結婚式二次会パーティーがあって、久しぶりに目黒から白金台まで歩いた。2年前までは毎日自転車で通っていた道。ところどころ風景も新しくなっていて、時間が経過したことを感じる。このところ仕事以外で山手線内を歩くこともなかったので、新鮮な気持ちになった。

★★★

JR東海リニア新幹線の計画を発表した。発表された事項自体にそれほど目新しいものはなく、直線ルートで神奈川県の橋本、山梨県甲府(市街地の南部)、長野県の飯田、岐阜県の中津川に中間駅が設置される。実際の建設もこの計画に添って進められることがほぼ確定している。それぞれの地元ではリニア開通への期待が高まっている。

品川駅も名古屋駅も地下深くに設置されることから乗り換えに時間がかかり、現行と比べてもそこまで時間短縮につながらないことや、今後人口が減少していくこの国で新たにリニア新幹線を建設しても、投資回収ができなくなるのではないか、などといった懸念点も挙げられてはいるが、それでもなお建設を進めるべきだと個人的には考えている。

まず、東海道新幹線のバックアップとして。来るべき東南海地震への備えという意義もあるし、そもそも東海道新幹線自体来年で開業から50年を迎えることから、今後はこれまで以上にメンテナンスが必要になってくるはずだ。

また、既に東海道新幹線の輸送力は限界に近づいており、いかに信号技術や車両を改良しようとも、これ以上の増発の余地がなくなってきている。日本の人口は減少していくだろうが、今後は海外からの旅行客の増加も見込まれることから、新幹線だけで賄いきれなくなることは確実である。実際のところ東海道新幹線はドル箱路線であり値下げの余地も大きい。リニア新幹線ができたから東海道新幹線がガラガラになるということは考えにくい。JR東海としてもこのあたりのシミュレーション、シナリオ分析は充分行っているだろう。

そして、リニア新幹線の開通は新たな需要を生み出すことにもなる。現に、九州新幹線の全通によって人の流れは活発になり、なかでも30分強で結ばれることになった博多熊本間の定期利用は数十倍に増えたと聞く。

最後に、リニアを実際の旅客輸送手段として世界で初めて運用する、という技術面からの意義がある。ここ数年で新興国でも高速鉄道の建設が進んだが、やがてはリニアの建設に踏み切る国も出てくるはずだ。その際に、先行技術を持っていることがアドバンテージとして生かされる時代がやってくると思う。

これらの要素を総合的に鑑みて、JR東海は民間企業として建設への投資判断を固めた、というところではないか(素人目線だが)。あまり外野からとやかく言わずに応援していけばいいのでは、と思っている。