温度計。

毎週のように東海道新幹線に乗っている。もうほとんど窓の外の景色に目をやることもなくなったけれども、唯一きまって顔を上げるのは、行きの道中、米原駅に差し掛かるところだ。

いつも、3人がけ窓側のA席に座っているので、左手に米原駅の新幹線下りホームが見える。ホームが終わると、静態保存されている蒸気機関車が見え、その隣にヤンマーの研究所が建っている。その建物に時計と気温が交互に表示されるパネルが掛かっている。パネルでその日の気温を確認するのが、いつものことになっている。

朝の米原近辺、冬場はたいてい氷点下前後の気温が表示されている。真夏であっても25度を越えることはまずない。表示された数字を見ながら、その時々に頭を抱えている案件のことを思い浮かべて、さてどうしたものかとため息をつく。

昨日のパネルは、15度を示していた。ずいぶんと季節が進んでいることに驚くとともに、自分も進まなければ、いつまでも同じ場所にいてはいけないのだ、というメッセージを与えられた。