「指定席」というカラクリ。

お盆真っ只中の一週間。通勤ラッシュもなく、オフィスにいてもそんなに電話がかかってくるでもなく緩い空気が流れている。7月からタフな時間が続いていたが、ようやく諸々のことが片付いて気持ちも軽くなった。9月末に向けてまた来週から忙しい時間が続くが、何とかやれそうな気がしてきた。

★★★

出張の際、よっぽど混雑が予想される時期でない限り、僕は新幹線や特急列車で指定席を取ることはなく、自由席車両にいつも乗っている。席が確保できず立ちんぼになることはほとんどないし、むしろより快適に過ごせていることの方が多い。

自由席と言えば乗車前にホームの列に並ばなくてはならないイメージが強いが、意外にも自由席は空いている。ビジネス利用客の比率が多い路線、時間帯であるほど指定席の埋まり具合に比べて、自由席は空いている。統計的にも指定席の方が乗車率が高いんではないかと僕は考えているが、JRは間違ってもそんな統計は発表しないだろう。指定席券の売り上げが減るからだ。

さらに言えば、自由席はその名の通り自分の座りたい席を選べる。そこそこ空いていれば、隣が空いている窓側の席を占拠できるし、窓側が埋まっていたとしても、隣の席に座る人を選ぶことができる。嫌になれば席を移ればいいだけだし、車両を替えることもできる。逆に指定席は自分の座る席が予め決められているだけに、隣に座る人を選べない、一応席を変更することは不可能ではないのだが、わざわざ車掌さんを捕まえて新しい席を確保してもらうか、自由席車両に移るしかない。そこまでするとなると、なんのために指定席料金を払っているのか、ということになる。

そう、指定席というのは改めて考えてみればおかしなシステムなのだ。自分の座る席を確保できるというメリットはあるのだが、経済学の原則から言えば、乗る列車と座る席に制約が加えられる方が高く、自由な方が安くなる。航空券のFIX制度とは違って、乗り過ごしたらチケットがパーになるという代物ではないから、ということはあるが、この指定席と自由席という制度は面白いものだ。

まぁでもこれは人それぞれの考え方の違いで、乗る前に自分の席が確実に確保されている、というメリットは、指定席と自由席の料金の差額を補って余りあるという考え方もあるのは確かだ。しかしながら、自由席のメリットと指定席のデメリットのそれぞれは過小評価され、うまくカムフラージュされているように思える。指定席を取るものだ、という刷り込みが行われているようにも思う。その方が鉄道会社は儲かるからだ。他にもこんな事例がないだろうか。