家族のかたち。

家族形態について、ふと思うことがあったので。

今働いている会社の30代中盤以上の既婚男性社員については、専業主婦の奥さんがいて子どもがいる、という家庭を築いている人が多い。父親が一家の稼ぎを支えるという昭和の家族スタイルである。金融機関出身者が多いのも影響しているだろう、銀行などでもこのような家族形態が今なお多数派を占めるはずだ。減ったとはいえまだまだそれなりの給与水準を保っていることと、仕事に割かざるを得ない時間が長いことが、多様な家族形態の形成の阻害要因になっている。しかしながら、30代前半以下の既婚男性社員及び既婚女性社員については、共働きの家族形態を採っている人のほうが圧倒的に多いように感じる。見事なほどに世代間でギャップが生まれている。

もちろん一概には言えないが、会社によってはもっと早い時期にこの変化が起こっているのだろうし、より伝統的な金融機関等では、この動きはもう少し遅れてくるのであろうが、遅かれ早かれ家族形態が移行していくのは変えられない流れだろうと思う。しかしながら、社会的な認知はそれにうまくついていくことができているだろうか。ホワイトカラーの家族形態としてこれまでは、働く父親+専業主婦と子どもという形態が当然とされてきたが、この家族形態が多数派ではなくなってくる。共働きで子どもを持つ、あるいはDINKSという家族形態のほうが間違いなく多数派になってくる。いや、もう既に多数派になっているのかもしれない。昔から共働き家庭は少なからず存在していたが、その存在が過小評価されていたのではないだろうか。そしてその流れがそのまま今日まで続いているように思う。

共働き家庭のニーズを捉えたサービスは、これまでに充分供給されてきただろうか。共働き家庭のライフスタイルと、伝統的な家庭のライフスタイルの差、好んで利用するサービスの違いは想像以上に大きいように思う。

共働き家庭は可処分所得に余裕がある一方で、とにかく時間がない。お金で家事をアウトソーシングしたいというニーズは強い。しかしながら、そのようなサービスを活用するには心理的な抵抗感も高い。伝統的な家庭像とは相容れないものだからである。逆に言うと、ここでの抵抗感をうまく和らげるようなサービスを生み出すことができれば、そのビジネスの優位性は高いし、現在のこの国に残された数少ない成長産業になるポテンシャルは高いと思う。今のところ全くその予定はないが、もし起業などすることになればこういう隙間を狙いたいなと思う。