先のことと、そこに向かうペースについて。

昔の仲間から思いもよらぬ電話があって、心のなかが懐かしい気持ちで満たされた。僕のほうからはいろんな不義理も重ねてきたにもかかわらず、変わらぬトーンで連絡をくれた彼にどんな顔をして会いにいけばいいだろうか、やっぱり恥ずかしさと嬉しさが入り混じった顔になるんだろうか。我ながら見ものだ。

★★★

今の会社に移ってもうすぐ6年になる。あっという間に過ぎたけれども、周りの環境もずいぶん変わった。実のところ自分自身はあまり変わっていなくて、周りのほうがどんどんと変わっていくなかで自分の立ち位置が変化していった感覚のほうが近い。むろん自然に自分が周りに適応した部分もあるだろうが、自分自身で能動的にアクションを起こしていったという自覚には乏しい。

以前から、キャリアのなかで40代前半が1番重要だと思ってはいたものの、じゃあどんな姿になっているのかが全然想像できなかったけど、最近になって歳を取ったのか、このまま今やっていることを続けた場合の姿が少し見えるようになってきた。もっと具体的に言えば、今業界のなかで前線を走っている40代前半の世代が第一線を退き始めた時に、自分がどういう絵を描いていくのか、業界の趨勢や社会の変化を見極めながらそろそろ考えていかなければならないんじゃないか、と初めて思うようになってきた。

もちろん、僕自身のシナリオとしてこの業界から、金融から足を洗う選択肢もあり得るし、そのオプションはいつでも持ち続けていたいとも思う。しかしながら、今やっていることの延長線上でなにができるか、想定してみることにも意味があると思う。そして、そこに今自分が感じている疑問や問題意識を反映させていかなければならないと思う。

疑問や問題意識があるならば今すぐアクションを起こせばいいじゃないかと思われるかもしれない。自分の時代が来るまでじっと待っているなんていかにもサラリーマン的でつまらないと思われるのかもしれない。でも、個人的には、そういったアクションは急いで起こそうとするとロクな結果にならないと考えている。そういったアクションは、目に見える形ではっきりと表すというよりは、料理に隠し味を入れるように、日々の仕事のなかで少しずつ混ぜ込んでいくべきなのだと考えている。他の人のやり方はまた違うだろうが、僕にはそのようなペースでアクションを起こしていくほうが性に合っているし、残念ながらそのくらいのペースでないと僕の体力も精神力も持たない。はたからはのろのろとしているように見えるだろう。でも、方向さえちゃんと定めておけば長い目でみれば意外と速いんじゃないだろうか、と自分のなかでは思っている。