中国との付き合い。

南関東では既にスギ花粉の飛散が始まっているとのことだが、今のところ目も痒くなっていないし、鼻水も出ていない。花粉に対する反応がこのまま出なければありがたいのだが。

花粉の飛散とならんで、中国の大気汚染が話題になっている。これまでは黄砂なんていうマイルドな表現でぼやけさせられていたが、大気汚染なんて今に始まった話ではないし、そもそも中国大陸の平野部に限って言えば人口密度が日本よりも高いわけで、生活水準が向上した分だけ環境面でひずみが出てくるのは、ある程度までは仕方のないことだと思う。50年前の日本だって同じように様々な
環境問題を抱えていたわけなので。

しかしながら、ここから中国が環境問題を解決していくことができるか、という点においては、かなり懐疑的な見方をせざるを得ない。僕が中国に行ったのは8年前と9年前の2度だけだが、その頃都市部で見かけた、空に煙が立ち上るような、石炭直焚きのスチーム暖房が地方部では今もよく使われているそうだ。零下十度以下に冷え込む内陸部で、質の悪い炭で皆が暖を取ろうとすれば、そりゃあ空も薄暗くなるだろう。低コストで手に入る石炭が冬にどんどん燃やされることが、大気汚染発見の最大の要因になっている。

コスト面から暖房を石炭から他のエネルギーに切り替えるのはかなり難しい。所得の高い都市部では既に電気やガスによる暖房が主流になりつつあるが、所得の低い地方部で石炭の使用を抑制させるのはなかなかに難しいと思う。地方部の農業従事者の所得と都市部のホワイトカラーの所得格差に加え、地方部では役人による汚職がひどく、暴動も頻発している状況で、政府の手によってエネルギー政策をコントロールするのは不可能に近い。

見方を変えれば、都市部の住民が大気汚染に悩まされるのは、低所得にあえぐ地方部の住民からの静かな反乱と言えなくもないだろうか。国内の所得格差問題の解決抜きに中国が環境問題を解決することは難しいのではないか。

さらに中国は環境問題だけでなく、急速に進む高齢化とも向き合わなければならない。少子化は日本よりも深刻で、今後数十年の間に中国の人口構成は大きく変化していき、その変化に社会保障が全く追いついていない。これだけ社会不安を起こす要因が大きいなかで、環境問題に対処できる余裕はあるだろうか。

これから数十年、否が応でも大陸中国に振り回されることが多くなる。拒絶しようとしてできるものでもないし、平和ボケしている場合でもないし、うまく付き合っていくしかないのだと思う。