同調圧力と閾値。

週末は結局2日ともざっと雨が降った。この季節になると、道ばたのいたるところに、たくさんの紫陽花が咲いていることに気付く。水分をたっぷりと含んで咲く紫陽花は、花のなかでも一番美しいのではないかと思う。入梅したものの、それほど気温が上がってこないので、じめじめすることもなく気持ちがいい。もしかしたら今年は冷夏なのかもしれない。

★★★

AKB48の総選挙とそれに伴う騒動について、こんなくだらねぇことよくやるよな、と周りの人が言っているのを何度か聞いた。騒ぎ立てるメディアに飽き飽きしているのか、選挙のためにCDを買う行為がくだらないと思うのか、AKB48自体に興味がないのか、本当のところはわからない。

人それぞれ興味のあることに違いはあるので、興味がもてない、つまらないと思うのは自由だと思う。でも、「つまらない」と自分で思うことと、他人に「くだらない」と思うことは全く違うのだと、僕は思う。自分がつまらない、と思うだけでなく外に向かってもくだらないと言ってしまう鈍感な人は、自分と似た人たちだけの世界で生きていたか、周りにいる人に自分を合わせて生きてきたんじゃないかと僕は思う。多種多様な価値観を持つ人たちのなかで過ごした経験があれば、自然とそんな発言はしなくなるだろう。人の趣味や嗜好について自分の主観でコメントするのは良くないんじゃないかと思う。

そんなこともあって、自分の趣味だったり、嗜好を周りに隠している人は少なくないんじゃないか、と僕は思っている。僕も自分の趣味が知られたら恥ずかしいな、と思っていた時期もあったし(今もまだ少しあるような)、いささか話は飛ぶが、昔の男の人には、結婚して夜の営みをしようと試みて初めて、自分が女性の心を持っている(同性愛者である)ことに気付いた、というようなケースもあったらしい。無意識的に自分の本性を抑制していたのである。

日本人はことさら同調圧力が強いし、自分の趣味や嗜好をさらけだしあうというよりは、特定のイベント(サッカー日本代表だったりオリンピックだったり)にみんなでのめり込んで騒ぐことが多いと思う。そんな空気のなかでは、サッカーつまらねぇなどと発言することはタブーに近いものとなり、下手すれば「非国民」なんて言葉を喰らいかねない。同調圧力は、時として個人の趣味や嗜好を抑えてしまいかねない。

自分がよく知りもしないことにくだらないと言ったり、乗っかってのめりこむのは危険だと思う。