がんばれ東北。

例年に比べても寒い冬が去ろうとしている。春になろうかというところで震災も起こり、この冬は本当に長く感じられた。それだけに、少しずつ暖かくなってきたのがことさら嬉しく感じる。

twitterの再掲になるけど、仕事でのエピソードをひとつ。twitter投稿時から若干加筆修正。

僕の担当先は東北が多く、いまだ連絡すら取れない(こちらから連絡することがはばかられる)先も多い。担当先の仙台市内の某社は、航空写真で見たところ、完全に本社事務所が津波による汚泥に沈没。民事再生計画進行中だったが、さすがにこりゃあ終わりだなと思っていた。おりしも、3/15が年に一度の返済日だった。ところが、先日社長の携帯から電話が来た。社長は一命をとりとめて、昨日震災以来初めて事務所に入ることができたとのこと。どろどろの事務所のなかで、流されてしまったものも多かったが、金庫だけが残っていた、そしてそのなかに弊社あての返済資金が盗まれずに残っていた、なので遅くなったがきょう返済金を振り込むとのこと。ちなみに電話の第一声は「振込先を書いた紙がどこかにいってしまったから口座番号を教えてくれ」と。

僕はびっくりした。事務所も使えない、資材も全部流されてしまった会社が、約束通り返済をすると言うのだから。返済は完全に無理だと思っていたし、もう連絡すら取れないかと考えていた。さらに今回の返済資金340万は、ここもと一年間で会社が積み重ねた大切な利益であり、なおかつ、今の状況では、これからどれだけかかるかわからない再建のための資金繰りにまわすべきものだ。いわんや来月の給料はどうするのか。そういったことを考えると、これまでで一番重みのある340万円だった。直接声に出したのは「ありがとうございます」の一言だけだったが、僕はいろいろな想いを感じた。

社長、絶対に会社再生させましょう。事務所がなくなっても、資材が流されても、社長が無事生き残ったのだから絶対にやり直せるよ。できれば、社長の会社が完全に復活を遂げるまで見届けていたい、そんな気持ちにさせられた。

金融屋さんは最後にはいつも客に救われるんやなぁと改めて思う。こういう瞬間があるからエンドの経営者と直に交わる仕事はやめられないんよ。やはり僕は一生フロントプレイヤーでいたい。