忙しい仕事の合間を縫って、露天風呂に浸かる。おっさんの1人泊まりは寄る辺もない感じである。卒業シーズンなので、19年前に大学の卒業旅行で夜、露天風呂に浸かりながら友人と話したことをふと思い出す。あそこからは途方もない時間が経ってしまった。あの時は無限に広がっていたはずの選択肢が、いまはずいぶんと狭まってきたように感じる。それだけ、無数の選択を積み重ねてきたのだ。
まだまだ人生は続く。それでも、過去はもう変えられない。良いことも悪いことも抱きしめて進むのだ。40歳を過ぎるとさすがに、自分のやってきたことには責任を持たなければならなくなる。受け止めないわけにはいかないのだ。
いろんなことが錯綜してショートしそうな頭を少しずつクールダウンさせ、ひとつずつを取り出してめどをつけてゆく。さまざまなことがのしかかってくるのは大変だけれども、やることがない、必要とされていないことに比べればずいぶんとマシだと思う。自分がやれることをこれからもやっていく。もう20年目になるのだ。