歌舞伎町。

お付き合いで新宿に。夜の新宿は何歳になっても慣れない。特に今夜は歌舞伎町方面だった。年に1回くらいしか行くこともないのだが、きまって行くのは年末であることが多い。

今年は12月になっても暖かい日が続いている。夏の暑さといいいったいぜんたい日本の気候もおかしくなってしまった。暑いのでダウンジャケットをたたんでリュックに入れる。待ちゆく人たちも12月とは思えないくらい軽装である。歌舞伎町の雰囲気とあいまって、どこか東南アジアの繁華街にもぐりこんだような感覚になる。

東急歌舞伎町タワーにははじめて足を踏み入れた。2階の飲食店街は確かに雰囲気があったが、こじんまりとしているように見えて圧倒的なスケール感がない。いかにも2020年代に作った代物に見える。話題のトイレも覗き込んでみたがこれといって、というものであった。いまの時代人工的につくられたもので感動するのはなかなか難しいのかもしれない。VRやARがこれだけ進化しているなかで、いくらリアルなコミュニケーションでしか得られないものがあるといっても、中途半端なものであればかえって興ざめしてしまうものである。まだそれならば大自然や、スポーツのほうが興奮は得られるのだと思う。

街はおおいに賑わっている。昔から思うのだが、新宿の街を行き交う人たちはどうにも刹那的に生きているように見えて心が締め付けられる。なんというか、自分自分もまた刹那的な生き方に引きずり込まれてしまいそうになるのである。心にブレーキをかけながら、新宿駅に近づくにつれて、ホッとした気持ちになる自分がいる。