つがる②。

(昨日の続き)さはさりながら、北東北の人の人生にはどこか哀愁が漂う。寒さをしのぐために味付けがしょっぱく、冬になると出歩かなくなるため身体を壊してしまう人も多い。暮らしもけして楽ではないと分かっていながらも、そこに引き寄せられて根を下ろすのにはどういう心理が働いているのだろう、と思ってしまう。

夜、ひっそりと静かになった中心街を歩く。ぽっかりと予定が空いて、飛び込んだ駅前の酒場は早々に22時に店じまいしてしまった。ズーズー弁が飛び交う狭い店で静かに心を落ち着けて、黙ってシャッターの降りた通りを歩く。昼間はそれでも季節外れの生暖かさだったのだが、夜とともにめっきりと冷え込んで、身体の芯から冷えてくる。早く宿に戻って温泉に浸かりたいと、思わず歩を早めると、切り株に足をとられて転んでしまった。とっさについた手をすりむいてしまう。

心も冷えてしまいそうなところで、ほうほうのていで宿につくと、1階のレストランは酔客でにぎやかである。現実から幻想に舞いこんだのか、幻想から現実に戻ってきたのか。頭のなかがぐるぐる回っている。