ドル化。

だんだん世界経済の雲行きが怪しくなってきて、通貨危機などの噂もささやかれてきた。全ての混迷の原因に経済があるのはその通りなのだが、欧米などは複合的に移民やドラッグ汚染などの問題も抱えており、悩ましい状況が続いている。日本も通貨安に悩み、インフラなどの底がいよいよ抜けてきた感があるが、それでもまだマシなほうなのだと思う。

アルゼンチンで大統領選挙候補者が通貨をペソからドルに変えることを公約に掲げているというニュースが入ってきた。いわゆる「ドル化」というのは懐かしいワードである。ちょうど20年前にこれをテーマに大学で論文を書いたのだ。自国通貨を持たない、持ったとしてもメインの通貨として据えない、というのはひとつの解決策である。カンボジアなどは事実上の通貨がドルであり、であるからこそ通貨安に見舞われず、経済が安定しているということもできる。一方で財政政策が取れない、というデメリットもあるが、財政政策が取れないならそれを所与のものとして経済運営をすればよいだけの話だ。

ドル化という話もあるなかで、世界全体を見回せば「脱ドル化」も一方で進んでいる。仮想通貨がドルに変わる存在として台頭し始めているし、ひとときの勢いはなくなったかもしれないが、人民元やユーロも基軸通貨としての地位をうかがう。残念ながらここのところの通貨安をみるに、円はその存在感を減じていくことになるのだろう。