学生の頃通っていた食堂が閉店した。閉店を告げるメッセージに何百何千の惜別のコメントが付されて、この店は愛されていたんだなあと心から思った。
経済合理性の観点からすれば、食堂を経営する、というのはおおよそ割には合わないことなのだろう。しかもそれが学生向けの大盛りの店となるならばなおさらのことだ。仕入れも光熱費も上がり、昔と価格を変えないままではおそらく最近は赤字になっていたのではないだろうか。そういうことも含めて、いまのご時世でチェーン店ではない形で安価な食事を提供しているお店には尊敬の念しかない。
しかしながら、このお店に集うコメントをみて、生きるとは金銭を集めるためのものではないのだ、という当たり前のことを思い出させた。貧乏学生の腹を(そして腹だけでなく心をも)満たす、という生業には確かに意味がある。そうした意味のある仕事を為したことに対して、金銭ではない報酬が得られるのもまた事実だ。
人間として生まれ落ちたからにはそういう仕事がしたいものである。