木の葉丼。

大衆食堂に入って「木の葉丼」のメニューが目についた。昔、高校の近くの激安食堂(いまもあるだろうか、当時は「もとや」という屋号だった)で何度か食べて以来である。


丼ものとはいえ、牛丼チェーン店でもないのに400円を切る価格で提供されているのはなかなか見かけない。思わず頼んでしまう。蒲鉾が薄くスライスされていて、そこに三つ葉が混じり卵でからめてある。鶏卵も申し訳程度に入っている。ほとんど、卵とタレの味でごはんをかきこむような代物だ。


あまりこだわりのない人間なので、美味しくかきこむ。完食しても、なんだか物足りなさが残る。なんというか、最近、満腹感を感じることが少ない。たくさん食べたときでも、苦しさはあるんだけどお腹に溜まっているという感じではない。そして、数時間もすればたくさん食べたはずなのにお腹が空いてくる。まるで高校生の頃のように。


僕の身体のなかで食べものを消化する仕組みはどうなっているのだろう。まるで、食べたものが身体のなかのブラックホールに消えているみたいだ。