七冠。

藤井聡太六冠が今夜の名人戦第5局で渡辺明名人に快勝し、20歳での史上最年少の名人位を獲得した。これで七冠になる。

全冠制覇ではないのでそこまで騒がれていないのが不思議なのだが、とてつもない偉業である。彼にとってはまだまだ通過点でしかないのが本当に恐ろしい。

そして、敗れた渡辺明(現在は九段)にもスポットライトをあてたい。無冠になるのはなんと19年ぶりのこと。長らく竜王位を堅持していたものの、40代を手前にして無冠になるとは、藤井聡太が現れなければ思いもしなかっただろう。

羽生九段も無冠となり、そして渡辺世代までもがタイトルと無縁になってしまった。いかに藤井聡太という棋界に現れた台風が凄いかということを思い知らされる。ますます世代交代は速まり、棋力ではピークを越えてしまった棋士たちがどう棋界に貢献していくか、個々の在り方が問われる時代になってきている。

これはビジネスの世界でも同じことなのだろう。真に価値あるバリューを発揮できるスタープレイヤーは一握りになり、大多数の凡庸な能力しか持ち合わせない人たちはAIに代替されないような在り方をそれぞれに模索するしかない。勝負の世界はいつも炭鉱のカナリヤのごとくひと足先の風景を見せてくれる。