忍耐。

とにもかくにも人生とは忍耐だ、と思うことが多い。ああだこうだ言いたくなる気持ちをグッとこらえて口には出さずに、穏やかな表情で鷹揚に構える。そんなことの連続である。

 

人によっては、そういう時に感情をありのままにぶちまけたりできる環境にある、という場合もある。そうあることができればなんとスカッとするだろうと思ったこともある。しかしながら、そういう環境にあることが本当に幸せなのか、また幸せに近づけるのだろうか、ということはよくよく考えてみなければならない。

 

忍耐強く構えているときには、視野は広く見えるものである。取りこぼしも少なく、状況判断で間違うことも少ない。条件反射で対応しても許される局面では、ポカも増える。将棋ならば、第一感で思いついた手が最善だということが往々にしてあるものだが、思慮が浅いなかで飛びついた手はたいてい悪手である。

 

そう考えてみると、理不尽に直面して忍耐を余儀なくされる時こそが、自分を見つめ直し、正着の可能性を高めるよい方法なのたよう。