花見酒のゆくえ。

先週日経平均株価が15年ぶりに2万円台に乗った。大多数の人にとっては何の実感もない好景気だ。かくいう僕もリスクアセットを持っていないのでなんの恩恵も得ていない(むしろリスクアセットを持たない、というリスクは背負っている)。

盛り上がっているのは証券業界と不動産業界のごく一部だけである。銀座や赤坂あたりの夜のお仕事のみなさんも羽振りが良いらしい。壮大なババ引きゲームの勝者たちが、刹那的な春を謳歌している。そして最後に誰かがババを引いたままドボンしてしまう。刹那的な春は必ずしも楽しいものでもなくて、踊らざるを得ないから踊っている(もしくは心の中では泣きながら踊っている)、という方が正しいのかもしれない。踊らないことを選択する者が要する忍耐はいかばかりか。

「2年で2%」の公約は期限を迎えた後で宙に浮いている。この浮遊の行き着くところはどこだろうか。そしてこの政策の代金はいつどのような形で請求されるのだろうか。出口はまだ見えない。代金の一部をうまく掠め取って酔っぱらってしまうのが幸せなのか、よくわからない。とりあえず僕は踊ることもできず、指をくわえてことの成り行きを傍観しているだけである。