バトン②。

(昨日の続き)なかなかレアなケースだとは思うのだが、創業者よりも2代目のほうがより優秀、というケースの企業さんとお付き合いすることがあった。数字にも強く、現状にあぐらをかかず適度な危機感を持っている。時代遅れかもしれないが泥臭い付き合いも苦にしない。そういう姿をみていると、創業者の親御さんは安心して引き継げるだろうなぁとほっとした気分になる。もちろん事業は順風満帆なわけでもなくて、つい数年前には全ての事業を売却して清算しなければならない可能性もあったことが、良い刺激として働いた部分もあるだろう。それを思うと、「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出す。

適切なタイミングでバトンを渡すことも必要なのだろう。現代の社会ではシニアの方はみな元気で、70歳を過ぎても、時には80歳を過ぎても経営の第一線に立とうとする経営者も珍しくはないが、よっぽどアンテナを敏感に立て続けなければ経営やビジネスの手法のトレンドから遅れていってしまう。ビジネスにおいての本質もまた、変わってしまう側面もある。そういった場面での遅れは長い年月のなかでじわじわと蓄積されたダメージとなり、企業を弱体化させる。

くだんの企業の場合は、創業者と2代目で得意分野が違うので、承継を進めるとはいえそれぞれの得意な部分を役割分担して進めているようであった。親子でそれぞれの強みを理解して認め合うというのも素晴らしいことだ。父と子として、だけではなく会長と社長として二人三脚で歩んでいく姿にはある種のうらやましさを覚えた。