不惜。

鎌倉殿の13人もあっという間に後半である。そして、タイトルの通り13人の家臣団が揃ったのはほんの一瞬で、権力争いのなかでひとりまたひとりと姿を消そうとしている。


個性ある登場人物が次々と現れては、あっけなく命を落として退場していくのが、本作の特徴とも言える。現代は言わずもがなで、戦国時代と比べても、命の価値が格段に軽いし、命をもって自分の意志を示す場面が多いと感じる。なによりも、命を大切に、という観念からは大きく離れている。


彼らが潔く、命を惜しまずにふるまう姿からなにを学ぶことができるだろうか。命はもちろん大切だけれども、ただ漫然と生きながらえるよりも大事なことがあるのだということをメッセージとして込めている気がしてならない。後悔の念もなく、笑いながら、自分の選択に納得して死んでいく姿に、いまの世の死生観との違いを感じる。


そんなシリアスさが根底に流れながらも、三谷脚本らしいコミカルさも所々にはさまれているし、史実からの逸脱もほとんどなく、見ていてストレスになる部分はない。このまま今年も満足感をもって完走できそうだ。