試し合い。

大阪の話をもう一つ。なんというか、気を緩めたら一気にやられる、という部分がある。素知らぬ顔でこちらを試す、もっと言うと騙してくるのである。キレ者とは、そういう見せ球を投げることができる人のことを指す。関東ならば、なんて食わせ物だとそっぽを向かれかねないことである。


そういう人との試し合いは、構えて真に受けることだけが対抗策ではない。こちらもわざととぼけ返す、という切り返しは有効である。頭のなかはフル回転しながらも、口の動きはのんびりとしている。そして、のんびりとしていながらも、練りに練られた言葉を発していく。


悠長な言葉のやりとりのなかに、ナイフが隠されていたり、とどめを刺すような手裏剣が用意されている。そういう空気をまとったやりとりを傍目で見たり、自分が相対しながら言葉を操っていくことにアドレナリンが出る。


とはいえ、こういうやりとりに面倒くささを感じる人のほうが圧倒的に多いわけで、だからこそ、ディープな大阪のマーケットには、他地域の人間が入りこめないところはある。それはなんてガラパゴスである