冬季五輪開幕。

北京オリンピック開会式。14年前のような派手さはなく、想像していたよりもあっさりとしたものだった。東京五輪のようなちぐはぐさはなく、世界観の作り方が美しいものではあったが、気を衒ったようなものもなく、とにかくスマートでシンプルであった。強いて印象に残ったのは、一糸乱れぬ軍人風の隊列、子どもの合唱や、「習近平主席万歳」というような北朝鮮と見紛うようなシーンであり、台湾や香港、そしてウクライナといった、さまざまな意味で渦中にある国の入場行進であった。


今回の五輪会場はほぼ全面的に人工雪の環境で行われる。これもなんとも中国らしいといえばらしい。圧倒的なテクノロジーの活用、そしてスマートさの追求を極めればこうなる、という形を見せられているのかもしれない。日本が志向する形とも、欧米のありようとも違う、中国の目指す地点がよく分かってくるイベントとして、今回のオリンピックはあるのだと思う。


やみくもに成長を目指した時代は終わり、落ち着いた社会が形づくられるのか、それともこの社会はどこかで複雑骨折してしまうのか。どうしても、そんなことを考えてしまう。