ふと、平砂宿舎に住んでいた時のことを思い出す。もう20年前になるのか。当時からぼろぼろで、刑務所よりも残酷な住環境と言われたっけ。4.5畳のがらんとした部屋に、さびだらけのベッドがひとつ。そこにアルミラックを持ち込んで、ベッドの下には衣装ケースを入れて、よく着る服はアルミラックの上にそのまま置いて、、なんなら部屋のなかで洗濯ものを干して、炊飯器とテレビを置いて、とわけのわからない部屋だった。
共用の洗濯機はよく壊れていたし、トイレはしばしば詰まって溢れかえった。飲み会は、、ひどかった。よく奇声が響いていた。セントラルヒーティングが付いてはいたのだけど、機能していた覚えがほとんどない。もちろんエアコンなんてない。
酷かったのは間違いないけれども、楽しい生活だった。そして何歳になろうとも、あの生活からまた再スタートできる、と本気で思っている。生きてるだけで丸儲け。ずいぶんあそこからは遠くに来てしまったけど、あの頃感じていた何者にもなれるという感覚、這いあがっていく感覚はいつまでも忘れない。