新庄剛志。

プロ野球トライアウト、なによりも印象に残るのは新庄剛志のプレーだった。打席に入る際のしぐさ、バッティングフォーム、全てにおいて現役時代と全く変わらない。身体のシルエットもほとんど変わっていない。そして最終打席、変化球をうまく捉えた打球は、現役選手さながらの放物線を描いてレフト前に飛んでいった。


1992年の新庄剛志のデビュー。特に、ホエールズの有働から放った初本塁打。鮮やかに薄暮の夜空に浮かび上がった白球の姿を忘れない。そこからずっと、ぼくの中でも記憶に残る選手だった。


48歳になった新庄剛志。なによりも、人生を楽しんでいるように見えた。破天荒な人生を送り、財産の大半を騙し取られ失うという目に遭ってきた。それでも、思い切り人生を楽しんでいるのである。むしろ、いろんなものを失ったからこそ、道が開けたのかもしれない。目の前のことを心から楽しんでいれば、良いこともまた転がり込んでくるもんだろう。彼のことを見ていると、きっとそうだという根拠のない確信が湧き上がってくる。


ぼく自身も、楽しいと思うことだけをもうやっていくつもりだ。