出だし。

久しぶりにスナックに行った。カラオケも、数ヶ月経つと自分の持ち歌がなんだったか忘れてしまい、選曲に悩んでしまう。しかしそれでも、1時間もすればだんだんと自分のペースを思い出して歌えるようになるのだから、人間の記憶とはおかしなものだ。


カラオケに限らず、歌を歌うというのは、出だしが全てである。出だしで外してしまえば、途中からのリカバリーは難易度が上がるし、出だしさえ合わせてしまえば、あとは脳がそのあとの音程を導いてくれる。多少キーがずれていても、うまくごまかして歌いきれる。


腹式呼吸をうまく使うだとか、喉や声帯をほぐしておくなどということも準備としては有用だけれども、出だしがキマっていれば、まずもって精神的に乗っていけるのである。そしてこれはもう、歌に限らず、新しいことに取り組むとき全てにあてはまるのかもしれない。


そんなことを考えながら、気分よく帰路につく。