池袋。

池袋もなかなか降り立つことのない街だ。社外の人に誘われて、中華料理を食べにいく。

北口改札を出て路地に分けいれば、まるで中国にいるかと錯覚する。中文の看板が立ち並び、聞こえてくる言葉も日本語のそれではない。綺麗になる駅前のロータリーとは対照的に、来るたびにここの中華街は発達し、ディープな雰囲気を強めている。

先方の行きつけらしい店へ。狭い店内にはテーブルと椅子がひしめき合って並んでいる。そこに座ると、写真と番号が振られたメニューが出される。

料理が出てくるのを待つあいだ、ぞくぞくと中華系の客人が入ってくる。そしてスパスパと煙草を吸い始める。レストランで煙草の煙に燻されるのもなかなか久しぶりである。一風変わった、でも美味な料理を取り分けて口に運び、青島ビールで流し込むと、なんだか全てがどうでもよくなってくる。

ガンガンに冷房の効いた店内から、むせかえるような熱気の路地へ。饐えたような臭いが鼻をつく。人間が生きている感じがする。