還る。

「6月の北海道は1年でいちばんいい季節だよ」と何人かの人に言われて降り立ったのだが、その言葉通りに素晴らしい気候だった。大通公園ではライラックが咲き、写生をする人や写真を撮る人などが思い思いに過ごす。散歩をするだけでも気持ちいい。

北海道に来ると、よく人口減少の話になる。他県でもこの類の話は聞くのだが、北海道の地方部というのはより一層過疎化が進んでいる。札幌が都市として勢いがあるがゆえに、若者を吸収してしまうのである。やはり、地元に愛着のある若者であっても、人生で一度は札幌か東京に出てみたいという気持ちはあるらしい。

ふと時間があったので、歴史館に立ち寄ってみた。その昔稼働していた金鉱山などの史料を見学する。ほんの数十年前までは1万人以上が居住し働いていたような鉱山のまち(金だと、金鉱街とでも言うのだろうか)が、誰も住まない廃墟になっていたりするようだ。思ったよりも早く、人の手が入らないと自然に還っていくものなのだ、と感じる。これからもっとこういう場所が増えるのかな、と思う。