バンコク。

珍しく帰路を急がなくとも良い日。駅前の本屋に立ち寄ってゆっくりと本を眺める。先月土曜日に空き時間をもらった時に、二子玉川で心ゆくまで本を物色した時の解放感が忘れられなくて、最近は本屋に立ち寄りたい熱がぶり返してきた。思えば大学生の頃はよく本屋に入り浸っていた(おカネもなかったので、立ち読みばっかりしていた。ゴメンなさい)。

最近はビジネス書か小説しか読んでいなかったのだが、ふと足が旅行書のコーナーに向かった。地球の歩き方シリーズから、20代前半に何度も足を運んだバンコクを手にとって開いた。

そこには僕の知っているバンコクはほとんど消え去っていて、エキゾチックできらびやかな大都市の観光案内が載っていた。すぐに赤バスの運賃と、カオサンの宿賃を調べてしまう。以前に比べれば2倍以上に増えていた。

懐かしさと、変貌ぶりへの驚きと落胆とが混ざり合う。それでも、電灯に群がる小虫のように、自分の身体と心がバンコクに吸い寄せられてしまいそうになることを感じる。