機敏。

夜子どもと風呂に入っていたら、息子が保育園でのできごとを話しだした。なんでも、保育園でお友だちと喧嘩をしたようだ。

「◯◯くんが△△(息子)の顔をつねってきたの、だから△△はやめてと言ったんだけど、◯◯くんはやめてくれなかったの」
「そしたら△△はどうしたの?」
「△△は泣いちゃった」
そういう息子の声は心なしか震えていた。昼間の気持ちを思い出したのだろうか。
「そしたら◯◯くんはどうしたの?」
「先生に怒られて、ごめんなさいって言ってくれた」

喧嘩のひとつやふたつあるだろう。逆にお友だちを泣かせてしまったり、傷をつけてしまう日もある。泣かされたときの気持ち、泣かしたときの気持ち、それをちゃんと覚えてくれていればそれでいいと思う。

「そうかあ、そのとき△△はどういう気持ちだった?」
「えーと、えーと(考えるときはいつもこの口癖だ)、悲しかった」

保育園での時間も、あと数ヶ月で終わる。彼が大人になったときに、どこまでこの日々のことを覚えていてくれるだろうか。覚えてくれていなくとも、別の形になって心に染み付いているだろうか。