都議選。

東京都民でもない9割近くの日本国民が、日曜の夜に直接関係のない選挙特番を見せられた一夜であった。都民ファーストの想定外の躍進を伝える報道は、2009年や2012年の政権交代時のそれを思い起こさせるような、熱気のこもったものだった。

今回はあまりにも自民党の敵失が多すぎたし、自民党都連が昨年の知事選から未だもって生まれ変わることができなかった、ということに尽きるのだと思う。そういう意味では、今回の選挙が、都連に象徴されるような自民党のなかでも守旧派の人たちが力を失っていくターニングポイントになるのだろう。

今回の選挙が首相にダメージを与えたとも思えない。さすがに内閣改造はしたほうが良いかもしれないが、もともと安倍氏と小池氏は距離も価値観も遠くないし、微妙なバランスを保ちながらこれからもやっていくのだろう。今回の選挙も、広い意味では自民党内の勢力争いのひとつだろう。干されていた小池氏が外に出て、改革派の第二自民党を作った見立てになる。公明党が時流を捉えてこちらに乗りかえたのは、さすがとしか言いようがない。

勢力争いの顛末としては、自民も改革路線に舵を切らざるを得ないだろう。そうなると、いきなり小泉進次郎が一足飛びに総裁候補に出てくるような未来もあり得る。そんな未来が少しずつ現実味を帯びてきた、夏の夜だった。