セロリ。

最近朝のワイドショーや夕方のニュース番組を見る機会があった。芸能やグルメ情報だけでなくて政治ニュースの時間をかなりとっている。あと、なぜか北朝鮮関連の話題を採りあげるのが好きなように思う。自民党総裁選に出馬予定の林芳正氏という政治家が生出演していて、いろいろとインタビューされていたが、家柄や経歴がすごいですねという話題とともにダイエットのエピソード(ご丁寧にダイエット前後の写真紹介付き)といった、なんら政策と関係のない人柄面が掘り起こされていて、当人は苦笑い、見ているこっちも苦笑いしてしまった。親しみを増すための出演なのだろうか。

と思ったら、夜のニュースではこれまた出馬予定の石原伸晃氏の失言問題が採りあげられていた。個人的には多少失言が多かろうがしっかり仕事をしてくれればいいような気もするが、よくもまぁ立て続けに「ナマポ」だとか、社会保障費の削減と絡めて尊厳死発言をしちゃったり、挙げ句の果てに「福島原発の第一サティアン」などと、次から次へ暴言が出てくるもんだ。これらの発言に、彼がどのような国政を志向しているかが非常にわかりやすく表れている。メディア露出の多い橋下徹氏も遠慮なく仮想敵を作って過激な発言をしているが、この両者の発言には致命的な違いがある。橋下氏は、自分の発言が相手にどう受け止められるか、想像することができているが、石原氏の場合にはそれが全く見えていない。今回の暴言とその反響について、石原氏自身は全く予想していなかったはずで、恐らく戸惑っているのだろうと思う。石原氏に限らず、自民党政権時代の失言騒ぎというのはみなこんな類いのものだったように思う。民主党政権からも少なくない失言が飛び出したが、失言の種類が違うように思う。

石原氏の失言に関しては、身も蓋もないが「育ってきた環境」と言う他にないような気がする。橋下氏とは正反対で、自分の発した言葉が人にどう受け止められるか、その想像力を養う機会がなくこの歳まで育ってきてしまったのだ。もちろん金持ちのお坊っちゃまであっても、橋下氏並みに想像力に富んだ人も大勢いるだろうし、辛い環境や挫折を経験してもこの力がいっこうに身につかない人も多い。

SNSなどで個人の発言機会を見ることが増えたことに比例して、こういう顰蹙を買うキーワードや発言を見ることが増えた。かくいう僕自身も、軽はずみな発言で人を傷付けてしまったことは数え切れないくらいにあり、なかなか人のことを言える立場でもないのだが。