生まれ変わる。
新年度の朝だ。自社の決算月は3月というわけではないが、3月末というのは、大晦日に似た感覚がある。カウンドダウンやお祝いをするわけではないので、歳末感は5分の1くらいなのだが。
午後すぎに東京を抜け出して、北東方面へ行く。年度末のそわそわした感じに包まれていた都内とは違って、地方にはいつもと変わらない緩やかな時間が流れている。会合に出て、地元の人と酒を飲み交わして、初めて泊まる小さなホテルに向かう。
深夜の西大通りや国道6号のたたずまいは昔とちっとも変わっていなくて、今が何年なのかわからなくなる。ずいぶんと長い時間が流れたような気もするし、あっという間だったようにも思う。いろんなことがあったけれど、大事なものもたくさんあったけれど、それらは今ここにあることと比べれば、過ぎてしまえば取るに足らないことだったようにも思う。
全てが包み込まれたような夜に、ホテルのユニットバスに湯を張って浸かっていたら、いつの間にか日付けが変わっていた。