人間になる。

電車に乗ってふと時間が空いた時など、iPhoneの写真フォルダを開いてしまう。ここ数ヶ月の写真のストックはほとんどムスコで埋められていて、月日の経つままにムスコが成長していく流れを物語を読むかのように見る。

産まれたばかり、4ヶ月前の写真に映っているのは、紛れもなく新生児だ。お腹のなかから出てくるのに体力を消耗したのか、顔は少しやつれて切れ長の眼が目立つ。そこから一カ月も経てば、毎日たっぷりと母乳とミルクを与えられてまるまると大きくなった姿に変わっている。

日付がきょうに近づいてくると、もうどこからどう見ても赤ちゃんのたたずまいである。格段に表情のバリエーションが増えて、身体の動きもダイナミックになってくる。たった4ヶ月で、どれだけのことができるようになったか。

ひとりでに身につけたものもあれば、粘り強く(主に妻が)同じことを繰り返してできるようになったこともある。できることがひとつ増えるごとに人間らしくなってくる。人間は生まれた時から人間ではなくて、親や周りの人の支えによって少しずつ人間になるプロセスを踏んでいくのだと、しみじみ思う。いま自分が当たり前のようにできていることも全て、親や周りの人によって教えてもらったこと、身につけさせてもらったことなのだということを思う。