充電。

朝晩はだいぶ寒くなってきた。外気の寒さに、iPhoneのバッテリーがいきなり半減する。早朝の東横線は、泥のように眠る遊び帰りの若者と、黒のコートを身にまとった勤め人で埋まり、奇妙な静けさを保っている。

新幹線に乗り込み、iPhoneを充電すると、みるみるうちにバッテリーが回復していく。iPhoneのバッテリーは残量がパーセンテージが表されるが、表記の数値と実際の残量の乖離が大きい。こればっかりはiPhoneがバージョンアップしてもなかなか改善されない。それでも、2時間と少しで、2台のiPhoneともにバッテリーは満タンになる。

大阪に着いてこまごまとアポをこなす。ひとつひとつのアポでもっとしゃべっていたいことが多いのだが、時間の都合上切り上げてしまうことが多くてもったいない。かといって飲みにいったりすれば何時間もくだらない話に付き合わなければならなかったりするので面倒くさい。なかなか思うようにはいかないことが多くて、徒労感を覚えながらの帰り道に。タクシーの窓に雨があたって夜の大阪のネオンがぼやける。疲れと虚しさに心のなかもぼやける。

帰りの新幹線でまたも充電する。残量が30%を切ったiPhoneはボロボロになった心によく似ている。勢いよく充電されていくiPhoneとは裏腹に、心はそこまですぐに元気にはなれないけれども、帰りの2時間と少しで後向きな考えは少し消すことができた。