ロストマン。

早い時間から明かりを消して、ホテルのベッドに横たわっていると、普段考えないようなところに意識が向かう。その昔から今に至る道は、レールの上を歩いてきたようでもあるし、綱渡りを重ねてきたようでもある。少なくとも15年以上前から、明確な意思を持って、人の意見に耳を貸すこともなく、選択を重ねてきたのは確かだ。むろんそれぞれの分岐点では他の選択肢もあったはずだが、今から思えば迷ったり悩んだりすることはあまりなかったように思う。もっと言えば、迷ったり悩んだり、さらには後悔することにも、自分自身あまり意味を感じていないのかもしれない。

「選んできた道のりの正しさを祈った」とある。知らず知らずのうちに、僕は正しさを祈り、もしくは信じ込もうとしているのかもしれない。道のりを信じられるということは、今の自分自身を肯定するということでもあり、その結果がどうであれ、選びとった選択肢自体を肯定することになる。15年以上前、選択するということを始める自分に対しても、これから未来に向かう自分にとっても、正しさを祈りながらどうか進んでいくことができるように、そんなメッセージを感じる。