南岸低気圧。

首都圏は2週連続の大雪。わが家の前も、1週間前に積もった雪が融けきらないうちに再び銀世界となり、金曜夜はふかふかの雪を歩きながらタクシーをつかまえてようやく帰宅となった。東急東横線はなんとか週末のうちに復旧し、東名高速も正常化しつつあるが、山梨と長野はまだまだ深刻な状態に陥っている。しかしながら首都圏に限ってはほとんどインフラが保たれているのはさすがと言うべきか。それでも、ただでさえ雪に対する備えが本来ほとんど必要ない太平洋岸の地域で、これだけイレギュラーな事態が頻発すれば、インフラを支える方々の踏んばりも限界に近づくだろう。これほどの大雪が今シーズンのうちに再び訪れることがないことを祈る。

★★★

この大雪をもたらしたのは南岸低気圧である。例年真冬のシーズンには発生しにくいこの低気圧が、今年は黒潮の蛇行の影響を受けてこの時期にも発生している。大陸からの寒気と太平洋からの暖気が太平洋上でぶつかり低気圧が発生し、そこに太平洋岸の気温がぐっと下がるタイミングが合わさることで雪が降ると言われている。この気温の下がり具合の予想が気象予報士泣かせと言われる。今回もまさに、関東平野は雨になるか雪になるかの境目の気温で推移し、実際のところは大方雪として地上に降り積もった。終盤になって雨に変わったが、雪を融かすような要素にはならなかった。

わが家はアスファルトの道路からは奥まったところにあり、玄関から道路までは20メートルほどの砂利道でつながっている。車の通りもないので雪は積もったままに残り、外出するには雪にズボズボと足を突っ込んで歩いていくことになる。積雪はピークで30センチくらいだが、屋根から落ちてきた雪が積もっているところは腰のところまであるのではなかろうか。隣家からドサドサと大きな音を立てながら落ちてくる雪は、さながら凶器のようなものだ。

一方わが家の屋根はソーラーパネルが太陽光を受けやすいように傾斜も緩く作られており、なかなか雪は落ちてこない。当然のことながら雪でパネルが覆われているうちは発電も行われず、雪明けに晴れの天気となっても歯がゆい思いをすることになる。完全に雪がなくなってからも、発電が始まるまでにはさらにしばしの時間を要するように思われる。こう考えると、雪国での太陽光発電は全くもって採算に乗らないのではないか、と思う。

雪がある限りは洗濯ものも布団も外で干しづらいし、開け放して掃除をする気にもならない。換気しようにも、どんよりと低く垂れ込めた曇り空の空気は、人間活動に伴う排気が混じっていることを感じるし、足元が悪いと自然と運動不足になり筋力の低下を感じる。たった2度の週末で雪国の生活の大変さを体感する。