二択五題。

そばとうどんと言われればそばを選ぶ。生まれ育った大阪と言えば、薄い白だしのうどん(いわゆる「おうどん」)の街なのだが、僕はなぜかそばの方が好きなのである。コシのあるうどんはそれはそれで美味しいのだが、なんとなく味がぼやけているように思われ、それよりは味に細やかさが感じられるそばを小さい頃から好んで食べてきた。このあたりに、性格による差異というのはあるのかもしれない。

犬と猫と言われれば犬の方が好きである。両方とも飼ったことがないので、飼ってみれば好みも変わるのかもしれないが、犬の肌の下にあるしっかりとした骨格と筋肉を触るのが好きだ。猫の身体はふにゃふにゃしていて心が覚束なくなる。実家に住んでいた頃は家の周りに野良猫が多く住み着いていて、夜な夜なおどろおどろしい鳴き声で喧嘩をしては睡眠を妨げられたので、その時の悪いイメージが残っているように思う。もっとも、バンコクの夜道で皮膚のただれた野良犬につきまとわれた苦い思い出もあるのだが。

夏と冬ならば冬の方が気分が良い。冬の方が空気が澄んでいるし、日差しがあれば寒さも感じない。開放的な気分になれるという意味では夏も良いが、どうしても饐えた、退廃的な雰囲気を感じてしまう。それを中和するために空調が存在するが、空調が作り出す人工的な冷たさは、体温とともに人間として生きる力を奪っているような気がしてどうにも好きになれない。できることなら空調の必要のない場所で夏を過ごしたい。

つぶあんこしあんならばこしあんを選ぶ。「あん」というとお菓子であり主食ではないイメージがあるので、主食として自分のなかで認識されている豆がそのままの形をとどめているのはどうにも違和感があるのだ。同じような理由で、桜餅やカオニャオマムアン(マンゴーともち米のココナッツソースかけ)も好きになれない。さらに言えばこしあんの方がより砂糖がたっぷり使われているので、よりお菓子らしさを感じられる。

スキーとスノボならばスキー、というかスノボはほとんど滑ることができない。3回くらいチャレンジしたが、身体の使い方が全く異なるだけに、1度スキーで身についた癖が変えられない。スノボをスノボとして捉えられず諦めてしまったあたりに自分の性格の悪いところがよく表れているなぁとつくづく思う。

二択を30題並べれば計算上は約10億通りの組み合わせになる。もし30題全てが自分の選択と一致する人がいれば、その人を見て自分はどう思うだろうか、と想像してみたりする。