エアコンの強度と勤勉さについて。

猛烈に暑い休み明けの一週間が終わった。週明けは身体にこたえたが、金曜日になると早くも暑さが慣れてきたようだ。風をうまく捉えながらこの夏も元気にやり過ごしていきたい。

同じく猛烈に暑いアフリカを旅した時に、ゆっくり歩けば汗をかかない、というライフハックを身につけた。分速にすると20メートルくらいだろうか、本当にゆっくり歩く。足の運びだけでなく、手もそろりそろりと動かし、それ以外の部位は極力動かさないようにする。そうすれば、たとえかんかん照りの日なたを歩いていようが驚くほど汗をかかないのだ。残念ながら日本の夏は湿度が高く、じっとしていても顔がべとべとしてきてしまうので、この方法が同じように適用できるわけではない。

考えてみるに日本の夏が辛いのは、猛暑であっても他の季節と同じスピードで社会を動かしていくことが求められていることに他ならないのではないかと思う。急いで歩いたり走ったりするのは無論のこと、家の中で焦って探しものをしたりせかせか家事をしているときまって汗が吹き出してくる。パソコンに向かって仕事をしていても、夕方を過ぎてオフィスの空調が切れてくると、まだそれなりに冷気が残っているはずなのに、身体がほてってくる。身体のみならず頭を働かせるだけで、体温は上がってくるのだと思う。そして暑い環境にいればさすがに生産性も下がってくる。

日本におけるエアコンの存在は、単に快適に過ごすための役目のみならず、真夏の猛暑のなかでも他の季節と同じように、働いたり勉強したりするための役割を担っているように思う。真夏だからといって、生産性を落とすことが許されないがために、エアコンによってそのための環境が作られている。

ヨーロッパなどでは、もともと夏の暑さがそこまで厳しくないためにエアコンを使用すること自体が少ないこともあるだろうが、たまに猛烈な暑さに見舞われると相当みながだらけているように思う。暑いのに逆らってせかせかと動くことをしないのだ。一方で東南アジアや北米、中東の国々は日本以上にエアコンをがんがん効かせているのに、それに比例してせかせか動いていないではないか、ということになるが、これは単にもともとの気質がせかせかしていないから、ということだろう。むしろエアコンの強度と勤勉さが比例してどちらも強いのは韓国ではないだろうか。

というわけで、休みの日くらいはエアコンを切って、その分思いっきり怠惰に、血管もゆるめて過ごしたいのだ。