峯岸みなみが点火した?

一月もあっという間に終わったなと思いつつ電車に揺られていたら、いがぐり頭の女の子が顔をくしゃくしゃにして謝罪をする動画が流れてきた。いつもならばああまたメンバーの誰かがスキャンダルでもおかしたんだな、と思うだけだったはずなのだが、きょうばかりはその動画に言いようのない嫌悪感を覚えた。

タイミングが悪過ぎる。

峯岸みなみは自分の判断で丸刈りにしたと言っているが、純粋な自分の判断だと本当に信じられるだろうか。今までならば気づかなかった、もしくは気にも留めなかった、もしくはそれもまた素晴らしきことと信じ込んでいたAKB48のプロデューサーとメンバーの関係性が、今はとてつもなく醜悪な仕組みに見える。

どうやら桜宮高校の体罰問題に端を発して、日本全国で大きなパラダイムの転換が起こっているようだ。この波は女子柔道のオリンピック代表監督の辞任にまで到達した。今までならば、熱血指導の証だともてはやされており、半ば聖域化されていた世界、良きことだと無意識に思い込んでいたことが、すっかりひっくり返ることになりそうだ。

AKB48の世界もまた、高校の部活動や柔道オリンピックチームのように体育会的な色の濃い世界だったということだ。桜宮高校の事件が明るみに出て、オリンピックの代表監督の暴力が明るみに出たなかで、峯岸みなみの動画が一連の世の中の流れと化学反応を起こして爆発している。それはAKB48にとってなんともネガティブな反応となってしまった。

今となっては峯岸みなみ丸刈り姿には不快感しか覚えない。事を大げさに捉えすぎなのかもしれないが、峯岸みなみが本当に自分から進んで丸刈りになることを選択したのだとしたら、彼女をそうさせるべく仕向けたAKB48という集団のなかに根深く漂う空気、という圧力にうんざりさせられる。反省の意思を示すこと自体は必要なのだろうが、今回はさすがに一線を超えてしまった、というかプロデューサー陣は完全に世の中の空気を読み違えたのではなかろうか。彼女たちがこれまで努力して築いてきた今のAKB48の価値が、一度の戦略ミスによって崩れようとしている。そんな予感すら覚えさせられる。

繰り返すが、ここのところ2週間で、今まで当たり前と思っていた、疑問に感じることすらなかった価値観の崩壊が起こっているように感じる。これまで実際には存在していたものの認識されなかった感情が閾値を越えてワーッと社会に溢れ出しているような、そんな感覚を覚える。