おとうと。

週末、弟の結婚式があった。

1歳半下の弟は、小さい頃は丸々としていた。それに比べて僕は当時から痩せっぽちで、大乃国と寺尾(相撲の力士の名です。時代がわかると思う)と例えられていた。幼稚園に入ったばかりの頃だろうか、家の近所の教会で行われていたクリスマス会に連れていかれて、周りは知らない子どもたちで不安で不安でたまらなく、2人で一緒にその場を抜け出そうとしたのが一番古い記憶だ。

兄弟喧嘩はよくした。20歳くらいになってようやく消えたが、僕の額には爪で肉をえぐられた痕があった。身体は僕のほうが大きいはずなのに、勢いよく向かってくる弟に取っ組み合いではいつも負けていた。取っ組み合いで勝てないから言葉でからかうようになったのは僕の悪い癖だ。その頃の名残りのせいか、兄弟間のライバル心は相当大きかったように思う。あいつには負けたくないという思いがお互いに働いて、それがそれなりにプラスの作用をもたらしたように思う。兄弟間で仲良くなにかをした思い出を探すと20年近く昔にまで遡ることになるが、たとえ離れていても、なんらかの作用がお互いに働いていたのだろう。

僕と弟の性格は一貫して正反対である。しかしながら正反対というには少し訳がある。小さい頃の僕は引っ込み思案で超のつく慎重派で、対して弟はやんちゃで活発だった。しかしながら僕が高1〜2の頃、弟が中2〜3の頃に2人とも性格がガラッと変わり、僕は一転して行動派でふらふらした人間になり、弟は堅実でソツのない人間になった。それぞれ性格が変わったのは全く別の要因なのだが、ほぼ同時期に2人とも性格が入れ替わったのはなんとも面白い(しかしながら性格が変わったといってもあくまで当家の基準に照らしてであり世間一般の見立てとはまた違うかもしれない)。やはり血は争えないのか2人して似たような選択を取ることも少なくなかったのだが(金融を生業にしたり、知らぬ間に登山を趣味にしていたり)、僕と弟はずっと互いに違うタイプの人間であり続け、それゆえにウマがあうこともなくすれ違っていた。にもかかわらず、僕らは互いに影響し合い、それぞれの道を歩んできた。親に育てられたのと同時に、兄弟どうしで育てあっていたようにも感じる。

これからもしばらくは良きライバルでいるのだろう。一緒になにかをするようなことはまだまだ未来の話になるのかもしれない。まぁでも、いつか2人とも落ち着いたら、山にでも登りにいく日がくればいいなと思う。なにも会話はないかもしれないが笑