事業のおこしかた、お金の借り方。

友人から紹介された記事を読んでみる。
『若者と高齢者の起業支援で日本社会を活性化せよ』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120911/322681/?ST=business&P=1

世のなかまだまだ大企業信仰が根強いのだが、一方でこの国の起業支援策というのはなかなか充実している。記事のなかでは「”ちいさな企業”未来補助金」という制度が検討されているが、こういった制度だけでなく、日本政策金融公庫の新規事業資金への融資制度(下記のリンク)は非常に充実している。
http://www.jfc.go.jp/k/yuushi/atarasiku/index.html

もちろん何でもかんでも新規融資してくれるわけではないが、ある程度しっかりした事業計画があれば、ズブの素人の開業でも融資してくれる可能性は高い。特にリンク内の一番下にある「新創業融資制度」なんて、無担保無保証で貸してくれる制度になっている。極端に言えば、事業を失敗して返済困難になっても、社長個人の資産にまで手を付けられることは一切ないのだ(とはいえ、事業が傾きはじめればたいていの社長は個人資産をつぎこんでなんとかまわしていこうとするものではあるが)。起業にあたってここまで破格の制度を用意している国は日本以外にそう見当たらない。そしてこれだけ破格の条件を用意している割に、この制度を有する日本政策金融公庫の国民生活事業部門は、大きな赤字を出すことなく安定的に運営がなされている。この国は起業家に冷たいだとか、ベンチャー企業を支援する土壌がないと言われがちだが、ことさらそういうわけでもないように思う。

以前40歳定年制度なんていうことも言われたし、政府としては、国内雇用がこれからどんどん細っていくことを見越して、特に若い世代に向けていくつかの布石を打とうとしているように見える。こういう動き自体が、年金が100年安心制度なんて建前では言うけれども、政府ですら本音のところはいずれ破綻するだろうと思っている証ではなかろうか。65歳定年制度義務化にしても、一見矛盾している制度に見えつつ、年金問題解消に向けた施策である。

これだけ手厚い制度が存在している割には、なかなかその制度が知られていないように思う。日本人の性格からして、もっと気軽にお金を借りて小さな事業をやってみることを煽っても、制度のただ乗りはそれほど起きなさそうに思うし、どうせ政府がやる気なのならば、学校教育で、小さな事業のおこしかたを教えたり、お金の借り方を教えたりする時間を設けてもいいのではないだろうか。僕自身そういうことをちょっとやってみたくもある(その前に自分で起業してみろ、って話なのだが笑)。