交渉ごとにまつわるエトセトラ。

今まで全く見なかった仕事の夢を、けっこう鮮明に3夜連続くらいでみている。1日のうちに消化できなかった感情や思考をスッキリさせるために夢をみるのならば、最近欲求不満が溜まっていることの証ということだろうか。深刻な悩みを抱えていると言っていたとある友人は、眠りにつくかつかないかの頃から夢がはじまると言っていた。夢をみて目が覚めるとスッキリしているということは、夢をみることで脳が不愉快な感情を捨てているということなのだろう。人間の脳は優れた自浄機能を持っている。

仕事のなかで交渉ごとをしていて、早く結論を出そうと自分から先に妥協してしまって後悔することが多い。妥結であっても交渉が合意に至ればいくらかの前進であり、成果にはなるのだけど、時によっては、一度交渉が合意に至らなかったことで得られるものもあるのではないかと思っている。具体的には、交渉を始める前のこちら側の成果が0で、一度目の交渉で妥結して得られる成果が1で、一度目の交渉で妥結せずに二度目の交渉を行って相手から引き出した成果が2だとすると、本来であれば1と2を比較して交渉を進めるべきところを、0と1の差のみに着目してしまいがちになっている。

もちろん、深追いして2以上の成果を求めにいったらヤケドをしてしまって、最初の交渉で妥結しておけばよかったね、ということもあるので、そのあたりの見極めが重要なのだと思う。僕の場合は交渉を無理にまとめるために妥協しがちだが、いつも10くらいの成果を求めようとして、いつも交渉を決裂させ、結果的に成果が全く得られない、なんていう人もなかにはいる。僕もそんなに人のことを言える性質でもないが、学生時代にテストでいい点が取れる人や、資格をたくさん持っている人でも、圧倒的にこのあたりの見極めが下手な人がいたりするのだ。しかも往々にしてその自覚がなかったりして、知識はあるのに残念だなぁと思ったりする。知識があやふやであっても、この交渉力さえあれば、仕事でかなりの成果が残していくことができると思うし、はっきり言って、ビジネスパーソンがマネジメントになれるかどうかというのは、交渉力という指標だけで測ることができると思う。会社の経営者に置き換えると、思い切って自身が得意な仕事に特化する判断がなかなか下せずに、利益の出ない仕事を無理して請けてしまうケースも、このあたりの見極めの悪さに起因しているように思う。

こうしてみると交渉力は高校や大学といった場で一番教えるべきスキルのように思うが、なかなか教わって理解するものではなくて、身につけられるか否かの個人差は大きいように思う。