アウトレットという矛盾。
日曜日は友人の車に乗せてもらって栃木方面へドライブ。さんざん出張で行っているにもかかわらず食べたことのなかった宇都宮餃子や、落ち着きのある小さな町の風情を楽しんだ。
そして東北道で栃木方面にドライブに行くとなると寄りたくなるのが佐野のアウトレット。日も暮れかけてがらんとしたアウトレットで思う存分に買い物をする。混雑していないアウトレットはお得感が高まる。セレクトショップと違って声をかけられないのが僕には助かる。
買い物自体は満足いくものだったが、久しぶりにアウトレットという場所に行って、全体的にがっかりとさせられた。名の知れたブランドのショップが並んではいるが、ことさらメンズの夏物に限ってはどの店も代わり映えしなくて、同じような洋服が並んでいるように見える。
ここ15年くらいの日本では、高速道路を飛ばして向かったアウトレットで服をまとめ買いする、という行動様式がすっかり定着した。アウトレットの数は右肩上がりで伸びていったし、僕自身、アウトレットはお得な買い物ができて、いつも混雑しているというイメージがあった。しかしながら、アウトレットの数が増え、各ブランドにおけるアウトレットでの売上比率がどんどん高まってきたばかりに、アウトレットの本来の意義であった、通常店の在庫商品やB級品を売るという性質が薄れ、最初からアウトレットの店頭に並べることを想定して洋服が製造されるようになった。そのようにして製造されたラインナップは、本来のそのブランドの持つクオリティからは一段落ちるようになり、ひいてはアウトレットで買い物をすること自体の魅力を削いでしまったのではないかと僕は思っている。もちろんファストファッションの専門店が都心にどんどん進出してきたことも、アウトレットの相対的な魅力低下をもたらしたはずだ。そしてそのような傾向は、アウトレットに店を構えるブランドそれ自体の魅力の低下にもつながっていると思う。これまで1着5,000〜15,000円前後のいわゆる中価格帯の洋服を販売してきた卸メーカーが、軒並み経営規模を縮小せざるをえない危機に直面している。
洋服以外のブランドを取り込むことで、アウトレットという業態自体はまだまだ伸びる余地はあるだろうし、小旅行感覚で買い物に行く、というスタイルはこれからもすたれることはないとは思う。それだけにアウトレットの店頭でも、ファストファッションにもユニクロにもない、もっと個性の強い、センスの詰まったラインナップを置いてほしいな、と改めて思った。