渡り鳥と。

昔の同僚で、いまは故郷に帰って家業を継いだ友人に何年かぶりに会った。なんだかんだで数年に一度は会っている。もう机を並べて仕事をしていたのは9年も10年も前の話だ。


彼は本業を着実に推進しながら、事業の多角化を進めている。多角化がすなわち地域の活性化にもつながるのだ。田舎ならではの面倒くさい付き合いもあるだろうし、仕事ができるのでなにかと引っ張られる存在で大変だろうが、充実して過ごしているようでなによりだ。


東京にいると、日々いろんな案件に触れることにはなるのだが、どうしてもひとつのことにじっくりと腰を据えて取り組むというわけにはいかなくなる。個人的にはもう少し深堀りしてみたいな、と思う話であっても手放さざるを得なかったり、損得抜きで付き合いを続けるというのもなかなか難しい。いろいろやっているように見えても、果たして何年かして振り返って、自分のなかに残るものがどれだけあるのだろうか、などと虚しくなってしまったりもする。それぞれの立場に一長一短はあるのだけど、ついつい隣の芝生は青く見えたりもするものだ。