旅の空。

ここのところ、少し空いた時間ができると、本棚に置いてある昔の旅行本を引っ張りだして読んでいる。蔵前仁一沢木耕太郎下川裕治小林紀晴などなど、。

90年代からゼロ年代初頭にかけてこれらの本を読み漁ったことが、僕の血肉になっていることは間違いない。たとえ旅行のスタイルが、リゾート地に長期滞在する形に変わっても、家族連れのそれになっても、変えたくはない部分が確かにある。

もうこれらの本が書かれてから20年近く、もしくはそれ以上が経過した。旅人をめぐる状況もずいぶん変わった。それぞれの本に登場した人は、この時代をどう過ごしてきただろうか。いまという日常をどう生きているだろうか。

小林紀晴の「アジアン・ジャパニーズ」には、そんな日常に戻ってこれず命を落とした若者の話も収録されている。一時期旅に沈んで、日常に戻ってきた者として、なんだか人ごとではないような気がして、久しぶりに文章に没入してしまう。