自我。

鍵を持たないままに外出してしまい、マンションのエントランスのインターホンを鳴らした。うちのマンションは、インターホンを鳴らすと自動で録画され、自室のモニターで再度見ることができるのである。

自分の顔がモニターに映っている。暑さが厳しいのと疲れから、口がだらしなく半開きになり、自転車に乗っていたので、髪の毛がはね返っている。なんともくたびれたおっさんがそこに映っている。

普段自分が周りからどう見えているか、それを認識することから無意識に逃げている自分がいることに気づく。普段から否応なく向き合っていれば、正すべきところを正して、もう少し背筋を伸ばして生きているのかもしれない。人前でどれだけ見られていることを意識しているだろうか、誰も見てないところでどれだけ自分を律しているだろうか。

人目を気にすることと、自分を律することはイコールではない。たまに自分の顔を鏡やモニターごしに確認してみることは、自分のことを知る最も手軽な方法かもしれない。