晩秋。

珍しく柏でお酒の席となった。駅西口にある老舗居酒屋だ。大きな民家のようなつくりで、どっしりとした梁の柱が立っている。早めに暖簾をくぐったので、お揃いの法被を着た店員さんが開店前の打ち合わせをしていた。

ほどなく席に通された。広くて雰囲気のいい店だ。全体的にうす暗くなっている。夜の店は明るくてはいけない。すぐにジョッキとお任せのセットが運ばれてくる。既に仕込んであったのだろう、開店してすぐなのに揚げ物はアツアツだ。

話もたけなわになったころ、寄せ鍋を頼む。こじんまりとした鍋はダシが美味しい。いささか飲みすぎたせいか、トイレに立つとふらふらする。これはいかんと便座に座ってしばし回復を試みる。ちょうど仕事の電話がきて、夜風にあたりながら店の前で話していると、酔いも醒めてきた。

長くなりすぎないうちに切り上げてお開きに。すっかり寒い風が吹きはじめている。また来れるといいな、と思いながら、帰りの電車に乗り込む。良いお店で仕事とはいえ気の合う人と食事をするのは気持ちが良い。