屋台。

カオサンロードにはもう5年くらい行っていない。初めて行ったのはもう13年近く前、格安航空券はWebで探すものではなくて、ABROADというリクルートが発行する電話帳サイズの雑誌を買って、そこに掲載されている旅行代理店に電話をかけて予約するものだった。そこで買った格安航空券はたいていリコンファームが必要だったが、バンコクの公衆電話から拙い英語で航空会社のオフィスに電話をするも全く通じず途方に暮れたのはいい思い出だ。

ここ10年間でバンコクの物価も2倍以上になった。ゲストハウスも昔は60バーツ(200円弱)で泊まれる宿もあったが、今は最低でも150バーツくらいはする。カオサン自体がバックパッカーのたまり場から地元の若者のオシャレな遊び場になり、退廃的な雰囲気が薄れている。

それでも、カオサン通りの一本南側にある10バーツラーメンはいまだに値上げせずに営業している。いつも昼ごろには閉店してしまうが、当時から破格の値段でやっていた店がいまだに残っているのは奇跡的ですらある。

10バーツと言えば、10バーツで食べられるごはんの屋台もあった。麺類だとあまりお腹にたまらないのでむしろこちらの方がよく食べていた。ワットチャナソンクラムの裏通りの屋台。よく日に焼けて、歯が何本か抜けているおじさん。白いプラ容器に白米が詰め込まれ、目玉焼きを乗せて唐辛子入りナンプラーをかけるとそれだけでごはんが進む。あの店も残っているだろうか。