スタートライン。

眠い目をこすって、西南の方向にある遠方へ。思ってもみなかった形で自分のところに転がり込んできた案件が、思ってもみなかった形でひとつの実を結ぼうとしている。もちろんこれはまだスタートラインに立っただけで、成果に結びつけるのはこれからなのだが、それでもがむしゃらに走り続けたことがひとつ報われたような気がして嬉しい。なにごとも、空振りを恐れず、バッターボックスに立ち続けなければ成しえなかったことなのだ。

南の海に面した目的地は、陽光がさして水面がキラキラと輝いていた。セレモニーを済ませてとんぼ返り。帰りは、北から降りてくる雨雲と向き合うように進んでいく。ふと、ここ数週間まとわりついてきた蒸し暑い空気が涼しく湿気をまとったそれに変わり、雷鳴がとどろいて大粒の雨が降り出した。うんざりするような暑さは雨雲ひとつで吹き飛んでいった。

ひとつの区切りがついたからといって、ほっと一息ついている暇はいまの自分にはなかなかない。どん欲に、やれることはやれるだけ手を伸ばしておく。それが、後になって自分を楽にして支えてくれるものだと分かっているからである。